第21章 転入生
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その夜。
部屋には静かな空気が流れていた。
ベッドの上。
ユカリは古いアルバムを膝の上に置いている。
実家から持ってきていた幼稚園時代のアルバム。
少し色褪せた表紙を開く。
そこには小さな自分たち。
笑ってる。
走ってる。
泣いてる。
無邪気な時間。
ページをめくるたび。
懐かしさが胸に広がっていく。
そして。
その中にはちゃんといた。
八神凛。
「……あ」
思わず小さく声が漏れる。
なんで今まで忘れてたんだろう。
そう思うくらい。
凛はたくさん写真の中にいた。
少し不機嫌そうな顔。
すました顔。
でも。
ユカリの隣にいる写真が多い。
ページをめくる。
すると。
ぼんやりと記憶が蘇る。
園バス。
小さな座席。
「ユカリ、こっち」
いつも凛が隣を取っていた。
ユカリも自然にそこへ座っていた。
また別の記憶。
幼稚園の庭。
夕方。
小さな凛が真面目な顔で言った。
『ユカリ、おれ、ヒーローになる』
『それで、ずっとユカリをまもる』
幼い声。
真っ直ぐな目。
ユカリはその時のことを思い出して、ふっと笑った。
「……かわいい」
今の凛からは想像つかないくらい小さかった。
でも。
根っこの部分は変わってないのかもしれない。
守る。
迎えに来る。
真っ直ぐ。
昔からずっと。
ユカリは写真を指でなぞる。
そこには。
小さな凛が得意げな顔で写っている。
隣には自分。
そして。
少し離れた場所には小さな環。
そういえば。
凛はいつも自分にくっついていたけど。
環は少し後ろから見てることが多かったな、とユカリは思い出す。
優しかった。
昔から。
ふふ、とまた笑う。