第21章 転入生
―――
時間は残酷なくらい早かった。
気付けば。
八神凛がアメリカへ戻る日まで――あと3日。
校内ではすでに“凛ロス”が始まっていた。
「やだもう帰っちゃうの!?」
「一ヶ月短すぎるって!」
「まだ英語聞き足りない!」
「凛くん日本残ってぇぇぇ!!」
凛派女子、大騒ぎ。
一方で他派閥もざわついていた。
「え、これ結局どうなるの?」
「ユカリ先輩、答え出すのかな」
「爆豪くんと轟くん死ぬほどソワソワしてない?」
完全にイベント前。
そんな中。
放課後。
ユカリは1年A組の前に立っていた。
少しだけ緊張した顔。
教室の中ではA組が普通に騒いでいる。
だが、ユカリが現れた瞬間。
空気が止まる。
「ユカリ先輩」
「来た……!」
「え、なに!?」
ざわつく教室。
爆豪と轟も顔を上げる。
そして。
ユカリは教室の中を見た。
「……凛、いる?」
静かになる。
凛は席から立ち上がった。
「いる」
その瞬間。
A組、息を呑む。
なんか始まる。
空気でわかる。
ユカリは少しだけ視線を揺らした。
「ちょっと、話せる?」
「いいよ」
凛はすぐ頷いた。
爆豪の眉間に皺。
轟も静かに見ている。
だが。
誰も止めない。
止められない。
二人は教室を出た。
廊下。
夕方の光。
人通りの少ない静かな場所まで歩く。
そして向かい合う。
ユカリは少しだけ緊張していた。