第21章 転入生
その時。
凛がふと振り返った。
「……ユカリ」
「ひゃっ!?」
びっくりしてスマホを背中に隠すユカリ。
爆豪と轟も振り返る。
「先輩?」
「ユカリ先輩」
三人の視線が集中して、ユカリは焦る。
「お、おはよう!」
「……今何してた?」
凛がじっと見る。
「えっ!? な、なんでもないよ!?」
わかりやすい。
爆豪の目が細くなる。
「隠すと気になんだろ」
「見せてください」
轟も歩いて来る。
ユカリは、わたわたしながら手を振った。
「ち、違うの!変なのじゃなくて!」
「じゃあ見せろ」
「だめ!」
すると凛がぽつり。
「……もしかして、写真?」
固まるユカリ。
それを見て三人は察する。
「……俺らのですか?」
轟が聞く。
ユカリは観念したみたいに小さく頷いた。
「……後ろ姿が、なんかよかったから」
静かになる三人。
ユカリは照れながら笑った。
「みんな最近ちゃんと話してるなぁって思って。それがなんか、嬉しくて」
その瞬間。
爆豪は顔逸らす。
「……チッ」
耳が赤い。
轟は少し目を丸くして。
それから柔らかく笑った。
「……嬉しいんですね」
「うん」
凛はじっとユカリを見る。
そのあと小さく口元を緩めた。
「ならよかった」
その空気。
朝の光。
穏やかな時間。
そして。
少し離れた場所。
偶然その様子を見ていた登校中の女子生徒たち。
「「「尊い……」」」
今日も無事、死亡していた。