第21章 転入生
「……びっくりした」
まだ顔が熱い。
ねじれはずっとキラキラしてる。
「すごかったねぇ!!」
ミリオはまだ笑いが止まってない。
「“迎えに来た”はさすがに強いって!」
環だけが静かに疲れていた。
「……帰りたい」
教室が少し落ち着いた頃、ユカリがそっと環の席へ近付いた。
「環」
「……なに」
ユカリは少し不安そうに聞く。
「凛の連れて帰るって、本気だと思う?」
環、沈黙。
数秒考えて。
「……本気だと思う」
「えぇ……」
ユカリは頭を抱える。
遠い目をする環。
「幼稚園の時、あいつめちゃくちゃユカリに執着してたから」
「そうなの!?」
環は静かに頷く。
「ユカリが他の男の子と話してるとすぐ不機嫌になってた」
「でも環にはめちゃくちゃ懐いてたよね?」
ユカリが首を傾げる。
「環には全然怒ってなかった気がする」
その言葉に。
環は少しだけ考えてから答えた。
「……それは俺がユカリを恋愛対象として見てなかったから」
ユカリは「なるほど……」と感心している。
「多分あいつ、自分の縄張り意識みたいなの強かった。ユカリに近付く男、全部警戒してたし」
「うわぁ…幼稚園でそれはすごいよね!」
ミリオが驚きながら反応する。
「だから俺は“安全判定”だったんだと思う」
「安全判定!!」
「…………」
ミリオが笑う隣のユカリ。
その笑顔は少し曇っていて。
まるで、小さな不安があるような。
環はそれを見て、少しだけ真面目な顔になる。
「……ユカリ」
「ん?」
「凛は多分、本気でユカリが好きだよ」
まっすぐな言葉。
ユカリが目を丸くする。
「昔からずっと」
静かな教室。
その時。
ミリオがふっと笑った。
「でもさ、ユカリを誰が好きかって話なら、もう今さら一人増えたくらいじゃ驚かないよね!」
「それはそうだね〜!」
ねじれもうんうん、と同意する。
そんなみんなの言葉に、ユカリはやっと少し落ち着きを取り戻したのだった。