第21章 転入生
ユカリは真っ赤になって固まった。
「えっ!? い、いやいやいや!!なんで!?」
凛は当然みたいに答える。
「約束したから」
「幼稚園だよ!?」
「でも約束は約束」
真顔。
強い。
だが次の瞬間、空気が変わる。
教室入口。
ドンッ。
爆豪が壁を蹴った。
「勝手に決めてんじゃねェ」
低い声。
轟も静かに前へ出る。
「ユカリ先輩の意思はどうなる」
凛は二人を見る。
「もちろん本人が決める。でも、俺は連れて帰るつもりで来た」
バチバチに空気が張り詰める。
出久が青ざめる。
(戦争始まる!?)
凛は静かだった。
だが視線は鋭い。
爆豪も一歩も引かない。
轟も静かに圧を出している。
その中心で、ユカリだけが混乱していた。
「え、えっと……!?ちょっと待って情報量が……!!」
すると。
凛がふっとユカリを見る。
さっきまでの鋭さが少しだけ消える。
「安心しろ」
「え?」
「無理やり連れてったりしない」
「………」
「ちゃんと惚れ直させてから連れて帰る」
教室。
「「「ぎゃーーーーーーー!!!」」」
女子大発狂。
芦戸が崩れ落ちる。
「何そのセリフーーーー!!」
お茶子も真っ赤。
「少女漫画すぎるやろ!!」
そんな中。
突然、休憩時間終了のチャイムが鳴る。
「やば次授業!」
「先生に怒られる!」
「戻るぞ戻るぞー!」
名残り惜しい空気の中。
わちゃわちゃと生徒たちが散っていく。
最後まで3年A組の前にいた爆豪と轟も、かなり不服そうな顔をしながら教室へ戻っていった。
凛だけは最後までユカリを見ていたが。
「また来る」
そう一言残して去っていく。
その背中を見送りながら、ユカリはようやく深く息を吐いた。