第19章 写真
不思議だった。
少し前までなら、絶対に関わることなんてなかった相手。
爆豪も。轟も。
タイプが違いすぎる。
うるさくて真っ直ぐで圧の強い爆豪。
静かなのに妙に核心を突く轟。
本来なら接点なんてほとんどない。
なのに今。
こうして夜中にLIMEしている。
しかも話題はずっとユカリ。
きっと。
ユカリという人間がいるから、繋がっているんだろうな。
そう思った時だった。
轟からのメッセージ。
【天喰先輩】
少し間が空く。
そして。
【昔のユカリ先輩が見たいから写真ほしいっていうのはもちろんあるんですけど】
轟は続けた。
【天喰先輩の隣に写るユカリ先輩って、俺がいつも見てる感じとちょっと違うというか】
しばらく画面を見つめる。
【安心しきって無防備、みたいな】
【だからそういうのが見たくて言ってるのもあります】
静かになった。
グループLIMEなのに、一瞬空気が止まった気がした。
環は少し目を伏せる。
……ああ。
ちゃんと見てるんだな、と思った。
爆豪も轟も。
ただ「好き」なだけじゃない。
ユカリの表情とか。
空気とか。
誰といる時にどう笑うかとか。
ちゃんと見てる。
環は昔を思い返した。
幼稚園の頃からずっと一緒だった。
ユカリは昔からよく笑う。
でも。
心から安心してる時の顔は少し違う。
気を張ってなくて。
無防備で。
隣にいる人間を疑ってない顔。
それを轟は写真越しに感じ取ったのだ。
すると。
爆豪からもメッセージ。
【先輩、俺らの前だとまだちょい気ぃ張ってる時あんだよ】
【でもテメェらん時は完全に素だ】
環は思わず苦笑する。
二人とも。
本気なんだな。
遊びじゃない。
ちゃんとユカリを大事にしたくて。
もっと知りたくて。
近づきたくて。
その上で、少し焦っている。
自分たちの知らない“長い時間”が、そこにはあるから。
その時。
環のスマホがまた震えた。
【だからって送んねェのかよ】
爆豪。
台無しだった。
環は即返す。
【送らない】
【ケチ】
【あと1枚だけお願いします】
【うるさい】
環は無言でスマホを伏せた。
(やっぱダメだこいつら)