第19章 写真
翌朝。
朝からぐったりした顔で席に座っているのは、環だった。
目の下にうっすら隈。
完全に疲れている。
そんな環の前で。
「っははははは!!」
腹を抱えて笑っているのはミリオ。
「なにそれ!!めちゃくちゃ面白いじゃん!!」
環は机に突っ伏した。
「面白くない……」
「いやだって!」
ミリオはまだ笑っている。
「爆豪くんと轟くんの“ユカリグループLIME”でしょ!?」
「名前そのまんまじゃん!!しかも環、巻き込まれてるし!!」
「巻き込まれた……」
完全被害者。
教室にはまだ朝早い空気が流れていた。
ユカリとねじれはまだ登校していない。
だからこそ、環も今のうちにミリオへ愚痴っていた。
「しかもずっとユカリの話しかしない」
「ははは!」
「写真送れってうるさい」
「人気者だねぇユカリ!」
「俺に構わないでほしい……」
ミリオは涙を拭きながら言う。
「でもさぁ、二人とも本気なんだね」
その言葉に、環は少し黙った。
昨日のLIMEを思い返す。
“安心しきって無防備”
“俺らの前だとまだ気ぃ張ってる”
ちゃんと見ていた。
ユカリのことを。
ただ可愛いとか好きとかじゃなくて。
ちゃんと知ろうとしていた。
環は小さく息を吐く。
「……まあ本気なのは分かる」
ミリオは少し笑みを和らげた。
「ユカリ、愛されてるねぇ」
環は即答する。
「愛されすぎ」
「それな!」
その時。
環がふっと真顔になった。
「……このことユカリには言わないでくれ。ややこしくなるから」
ミリオ、にやにや。
「え〜?絶対面白いのに〜?」
「ミリオ」
「冗談冗談!」
そう言った瞬間、教室の扉が開く。
「おはよ〜!」
元気な声。ねじれだ。
その後ろにはユカリもいる。
「おはよう」
柔らかく笑うユカリを見た瞬間。
環は静かに思った。
(絶対言うなよミリオ)
だが、ミリオの顔は。
完全に“言いたい人”の顔をしていたのだった。