第18章 オールマイトの特別授業
静かになった教室を見渡しながら、オールマイトはふと数日前のことを思い出していた。
実はこの授業。
数日前に3年生にも行っていた。
もちろん、空気はかなり違った。
インターン経験。
実戦経験。
人命救助の現場。
3年生たちの相談は、より現実的で鋭いものが多かった。
「救助優先か制圧優先か迷った時、どう判断すべきか」
「人を助けられなかった経験をどう受け止めるか」
「プロヒーローとして必要な覚悟とは何か」
どれも、現場を知っているからこその質問。
オールマイトも自然と答えに熱が入った。
さすが雄英の3年生。
そう思わされる時間だった。
そして。
その中で。
ユカリの相談だけは少し違っていた。
『……誰かを大事に思う気持ちって、ヒーローにとって弱さになりますか?』
教室が静かになったのを覚えている。
ユカリは少し迷うように視線を落としていた。
『大事な人がいると、失うのが怖くなるし』
『傷ついてほしくないって思うし』
『それって、戦う時に迷いになるのかなって……』
真面目な声だった。
誰かを想っているからこその悩み。
オールマイトはその時、少しだけ驚いた。
ユカリは昔から周囲をよく見る子だった。
優しくて、でも芯がある。
だからこそ、“自分の感情”について相談してきたことが印象的だった。