第18章 オールマイトの特別授業
次に手を挙げたのは麗日お茶子。
「誰かを助けたいって気持ちと、自分が怖いって気持ちが両方ある時って、どうしたらいいですか?」
その質問に、教室が少し静かになる。
オールマイトは優しく笑った。
「“怖い”と思えるのは、命の重さを理解している証拠だ」
「恐怖を知らない勇気より、恐怖を抱えながら前に進む強さの方が、私は立派だと思うよ」
お茶子の表情が少し柔らかくなる。
「はい!」
相談は続いていく。
個性の使い方。
人を守る責任。
失敗への恐怖。
将来への不安。
どれも、ヒーローを本気で目指しているからこその悩みだった。
そしてその全部に、オールマイトは真正面から向き合う。
時には笑いを交えながら。
時には真剣に。
教室の空気も、自然と引き締まっていった。
その中で。
一番真剣に言葉を受け止めていたのは、やはり――緑谷出久。
出久は一言も聞き逃さないように、前のめりで授業を受けていた。
オールマイトの言葉。
表情。
言い回し。
全部を丁寧に吸収していく。
そして。
机の上には、見慣れたヒーローノート。
カリカリ、とペンを走らせながら書き込んでいく。
【“恐怖”を理解していることは弱さではない】
【仲間を頼ることもヒーローの力】
【心の余裕=視野の広さ】
文字で埋まっていくページ。
その横顔は、完全に“憧れを学ぶ人”の顔だった。
オールマイトも、そんな出久を見て少しだけ優しく目を細める。
一方。
爆豪は頬杖をつきながら聞いている。
だが意外と真面目に聞いていた。
轟も静かに考え込むように聞いている。
A組全体が、自然と授業に引き込まれていた。
そしてオールマイトは最後に言った。
「強いヒーローとは、“誰かを安心させられる人”だ」
「力だけではない」
「その人の在り方が、人を救うんだよ」
静かな教室。
その言葉を、A組のみんなはそれぞれの形で受け止めていた。