第15章 体育祭
ユカリは少しだけ視線を落とした。
昼間のことを思い出す。
真っ直ぐ手を差し出してきた二人。
照れながらも応援を返した時の顔。
自分を見る視線。
心臓が少しだけ落ち着かなくなる。
環はそんなユカリを見て、小さく笑った。
「だから安心してる」
「……でも疲れた」
「ふふっ」
ユカリが笑う。
その笑顔を見て、環も少しだけ肩の力を抜いた。
昔からずっと。
こうして笑っていてほしい。
それだけは、本当に思っていた。
***
後夜祭のダンスが終わった後。
校舎へ戻る途中で、ユカリがじとっと環を見る。
「……でも写真は送っちゃだめ」
釘を差された。
環は疲れた顔のまま返す。
「わかってる」
「絶対だよ?」
「わかってるって」
「環、流されやすいから心配」
「俺の信用ってそんなにない?」
「今日のでなくなった」
「辛い」
ユカリは笑いながら歩いていく。
環はその背中を見ながら、小さくため息をついた。
(送らない)
(送らないけど)