• テキストサイズ

【ヒロアカ】MY SWEET HEROES

第15章 体育祭



***

後夜祭。

昼間の熱気とは違う、柔らかな灯りが校庭を包んでいた。

音楽が流れ、生徒たちがそれぞれのペアと踊っている。

その中心の一組。

ユカリと環。

昔から何度も並んできた二人だからこそ、ステップは自然だった。

息もぴったり。

周囲から見れば、本当にお似合いのペア。

でも。

環は今日一日でだいぶ精神を削られていた。

「……疲れてるね」

ユカリがくすっと笑いながら言う。 

環は即答した。

「ユカリのせい」

「えぇ!?」

ユカリが目を丸くする。 

「俺、今日ずっと命の危機感じてた」

「そんな大袈裟な……」

「大袈裟じゃない」

真顔だった。

ユカリは困ったように笑う。

その顔を見て、環は小さく息を吐いた。

(昔から変わらない)

幼稚園。

小学校。

気づけば、いつも隣にいた。

泣きそうな時も。

しんどい時も。

周囲に馴染めなかった時も。

ユカリだけは、当たり前みたいに隣に座っていた。

“環”って呼んで笑っていた。

環は静かに目を細める。

「……俺さ」

「ん?」

「ユカリには、幸せになってほしいって思ってる」

ゆっくり落ちる声。

ユカリは少しだけ驚いた顔をする。

環は視線を遠くへ向ける。

脳裏に浮かぶのは、昼間ずっと騒がしかった二人。

爆豪勝己。

轟焦凍。

どちらも不器用で。

分かりやすくて。

でも、ユカリを見る目だけは本気だった。

「あの二人は」

環がぽつりと続ける。

「ユカリを大事にしてくれる」

「…………」

「わかるんだよ」

静かな声。

「ずっと見てきたから」

誰が本気で。

誰がちゃんと大切にしてくれるのか。

環にはなんとなく分かる。

/ 252ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp