第15章 体育祭
嵐が去ったあとも、その場には妙な余韻が残っていた。
特に。
天喰環への視線が重い。
本人はもう完全に魂が抜けかけていた。
そんな空気の中、ミリオが苦笑しながら言う。
「まぁ、ファットガムさんがああ言うのも無理ないんだけどね」
「?」
1年生たちが視線を向ける。
ミリオはさらっと続けた。
「環とユカリ、幼稚園からの仲だし」
静止。
「……は?」
最初に固まったのは上鳴。
切島も目を見開く。
「幼稚園!?」
出久も驚く。
「そんな昔からなんですか!?」
ユカリが少し照れながら笑う。
「う、うん……気づいたらずっと一緒にいた感じかな」
ねじれも楽しそうに頷く。
「通形は小学校からだよね〜?」
「そうそう!」
ミリオが笑う。
「俺、小学校の時に環とユカリに会ったんだよ。で、波動さんは高校から!」
「最初から仲良しグループ完成してたよね〜!」
わいわい盛り上がるミリオとねじれ。
その横で。
1年A組、静かに衝撃を受けていた。
(幼稚園から)
(人生の大半一緒)
(距離感が違うわけだ)
特に爆豪と轟。
爆豪が低く呟く。
「……長ェ」
轟焦凍も静かに整理する。
「つまり、子供の頃のユカリ先輩を知ってるってことか」
「そうなるね!」
ミリオは悪気ゼロで頷く。
その瞬間。
上鳴がぽろっと漏らした。
「え、そんな古い仲なら……天喰先輩、ユカリ先輩のこと何でも知ってるんじゃね?」
空気が止まる。
環、反応停止。
(やめろ)
その一言が脳内を駆け巡る。
だが上鳴は気づかない。
「好きな食べ物とか!」
「昔の話とか!」
「子供の頃のユカリ先輩とか!!」
完全に興味津々。
1年生たちもざわつき始める。
「それ気になる!」
「絶対かわいいじゃん!」
ユカリは「ちょっと待って!?」と慌て始める。
だが、一番危険なのは別方向だった。
爆豪と轟。
二人とも、静かに環を見ている。
逃がさない目。
環は小さく息を吐いた。
(……もう勘弁してくれ)