第15章 体育祭
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3年テントは、相変わらず賑やかだった。
そこへ、ひときわ存在感のある影が現れる。
「おーう、盛り上がっとるなぁ!」
ファットガムだった。
インターン先の巡回ついでに寄ったらしいその姿に、周囲の空気が一気に和む。
「ファット?」
環が少しだけ姿勢を正す。
「……お疲れ様です」
「おう環、ちゃんとやっとるみたいやな!」
そしてファットガムの視線は、自然ともう一人へ向く。
ユカリ。
「おー!久しぶりやな、ユカリちゃん!」
「お久しぶりです!」
ユカリは嬉しそうに笑って軽く会釈する。
ファットガムは腕を組みながらニヤリと笑った。
「で?どや?……彼氏できたか?」
一瞬、空気が止まる。
「えっ」
ユカリの声が素で裏返る。
周囲のねじれが「わ〜お!」と目を輝かせる。
ねじれは完全に楽しそうだ。
「ファットガムさんストレート〜!」
ミリオも笑いを堪えながら肩を揺らす。
「いやぁ、いい質問だよね!」
環は一瞬だけ遠い目になる。
(この流れ、やめろ……)
ユカリは慌てて手を振る。
「えっ、いないです!いません!」
ファットガムは「ほう」と言いながらじっくり観察するように見る。
「ほんまか〜?」
「ほんとですって!」
そのやり取りを、少し離れた1年A組の話題人物たちが聞いてしまっている。
爆豪の目が一瞬だけ動く。
轟も静かに視線を向ける。
切島が小声で言う。
「おい……今の聞こえたよな?」
上鳴が冷や汗をかく。
「地雷ワード投下された気がするんだけど」
出久は顔を引きつらせる。
「いやでも事実確認だから……!」
ファットガムはそんな空気などお構いなしに笑う。
「ほな安心やな!環もモテるし、ユカリちゃんも人気やし、ええことや!」
環は小さくつぶやく。
「……巻き込まれてる」
ねじれは楽しそうに笑う。
「ファットガムさんって面白いね〜!」
そしてファットガムは一言。
「まぁ若いうちはな、いろいろあるもんや!」
その“いろいろ”が、今まさに会場の中心で渦を巻いていることは、誰もあえて言わない。