第15章 体育祭
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体育祭の警備エリア。
観客の熱気とは少し距離を置いた場所で、プロヒーローたちが会場全体を見渡していた。
その中で目立つのは、やたらと“騒がしい中心点”だった。
Mt.レディは、グラウンドを見下ろしながらニヤリと笑う。
「ねぇ見て、あの子」
視線の先には、3年生テントで周囲に囲まれながらも自然と中心にいるユカリ。
そして、その周囲で明らかにテンションを上げている1年生たち。
「いや〜、すごい人気じゃない?」
隣で腕を組んでいたシンリンカムイが静かに言う。
「……統率というより、吸引力だな」
Mt.レディは楽しそうに頷く。
「でしょ?あの子、場の空気持っていくタイプ」
さらに視線を少し動かす。
そこには爆豪と轟。
それぞれ別方向の熱量で、明らかにユカリに向かっている。
Mt.レディは口元に手を当てて笑う。
「いや〜青春ねぇ」
シンリンカムイは少しだけ目を細める。
「ただの青春で済むかは怪しいがな」
その言葉に、Mt.レディが興味深そうに振り返る。
「どういう意味?」
「……火種が多い」
短くそれだけ。
でも十分だった。
Mt.レディはさらに楽しそうになる。
「いいじゃん、そういうの!」
そしてぽつり。
「ねぇカムイ」
「ん?」
「うち来ないかな、あの子」
一瞬の沈黙。
シンリンカムイは無言でグラウンドを見下ろす。
そこでは相変わらず、男子たちが騒ぎ、笑い、叫び、そして一人の存在を中心に回っている。
「……やめておけ」
「え〜なんで?」
Mt.レディは笑う。
「だって絶対人気出るでしょ、うち来たら」
カムイはため息をつく。
「人気どころか、現場がもっと騒がしくなる」
「それもいいじゃん?」
「……仕事が増える」
その一言でMt.レディはようやく納得したように肩をすくめる。
「まぁ確かにね」
でも最後にもう一度だけ、グラウンドを見る。
「でもあの子、ほんとに“人を動かすタイプ”だわ」
その言葉は冗談半分なのに、少しだけ本気が混ざっていた。
一方その下では、本人はまだ男子たちに囲まれて困っている。
その対比が、余計に騒がしさを増していた。