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赤い約束 @銀魂

第5章 笑顔の裏側


手首を掴む力が増していくのが分かる。
それと同時に、神威との距離が縮まっていく。


「神威様…い、痛いです!」


私の言葉に反応はない。
相変わらず笑顔が張り付いたその顔に、今は恐怖しか感じられない。
やっぱり、怒ってるんだ…。


「神威様!」


思わず声が大きくなっていた。
すると、パッと手が放れた。

私の手首には、赤い手形がハッキリと残っている。
この血が清水の旦那のものだと思うと、眩暈がしてきた。
私のせい……なの…?


「時雨」


朦朧とする意識の中、神威の声が頭に響く。



「君は何も分かってないみたいだ。」

「それは、どうゆう……」


私の言葉を遮るように、彼は淡々と話続ける。


「いいかい?吉原は俺の街だと教えたよね?」

「はい…」

「つまり、吉原に生きる人は皆、俺に生かされてるんだ。だから、殺すのも俺の自由だろ?」


言い終えると、満面の笑みで私を見た。

ママの言葉の意味が少し分かった気がする。
そして、怯えてる理由も。
私たちは、未だ囚われたままだったんだ。


「今夜はこのくらいにしようか。」

「……。」

「どうしたの?」


俯いたままの私の顔を、彼は不思議そうに覗き込んでくる。
何か答えなくちゃ。
でも、気持ちの整理がつかない私は、返事をすることさえ出来ないでいた。


「時雨?」


もう分からない…。
どうせいつかは殺されてしまうのかも知れない。
それなら、いっそ…。
未来のない人生しかないのなら、このまま…。

意を決して口を開こうとした、その時!


「っん…」


私の声は思いもよらない形で塞がれた。


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