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赤い約束 @銀魂

第4章 刺激


高く積み重なった空っぽの桶の上に、彼は更に桶を重ねていく。
状況が分からず戸惑っていると、突然、彼の腕に引き寄せられた。


「!?….きゃ、」

「ふぅ〜ん。確かに、上玉だね。よろしくね。」


ニコッと笑った彼の笑顔は、何と言うか、どこか冷たい。
本当に….笑ってるの…?


「あれ?緊張してる?」

「あ、い、いえ!そんな…」

「大丈夫だよ。君はそこに居てくれるだけでいいから。」

「は、はぁ…。」



冷たい笑顔の彼は、そう言ってまた次の桶を重ねる。
さっきから凄い量のご飯を食べてるみたいだけど…この人の胃袋、どうなってるの?



「あの、、!」

「ん?」


口を膨らませたまま、彼が振り向く。


「あ、あなたは一体…」

「へぇ〜。俺って案外知られてないんだ。」


目を丸くして答える彼。
とても怖い人には見えないけど…ママはどうしてあんなに焦っていたんだろう?


「吉原(ここ)はね、俺の街なんだ。」

「えっ?」


まただ。
不自然な笑顔。
…笑いかけられてるのに、怖いと思ったのは初めてだ。



「君は、純粋そうな瞳をしてるね。」

「え?…」


急に彼の顔から笑顔が消えた。


「怖がらなくてもいいよ。俺は、女を殺すのは趣味じゃないから。」


殺…す…?


「でも、君が俺から逃げようとしたら…その時は…殺しちゃうぞ♪」


笑いながら、彼は私に手を伸ばす。
スッと首筋をなぞる指から、僅かに殺気を感じた。
彼の言葉は本気なのだと、私は悟った。

逃げたら….殺される。
どうゆう意味?


「君、名前は?」

「あ、時雨と申します!」

「そう、時雨か。これから、よろしくね。時雨」

「は、はい…」

「俺は、神威っていうんだ。」



………



それが神威との初めての出会いだった。


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