• テキストサイズ

赤い約束 @銀魂

第5章 笑顔の裏側


それから暫く神威は吉原に顔を出さなかった。
あんな事があったのに、私は割と冷静を保っている。

清水の旦那の事は、『最近見かけないね〜』と話になる程度で、神威に殺された事をみんなは知らないみたいだった。



「時雨ちゃん、加賀さんがお見えだよ!」


黒服に案内された先で、加賀さんが優しく微笑んでいた。

同じ笑顔でも、神威とはどこか違うなぁ…。
って、私ってば何考えちゃってんの!?
今は加賀さんが来てくれてるんだから!


「どうしたの?考え事?」

「あ、いえ、何でもないですよ♪」

「そうかい。何か悩みでもあるなら、いつでも相談してくれて構わないからね。」

「ありがとうございます。やっぱり、加賀さんは、頼りになりますね♪」



加賀さんと居ると、正直、とても安心する。
今まで、客はお金にしか見えてなかったけど、加賀さんと出会ってからは、そんな気持ちも変わってきた。

平凡。
加賀さんは、まさにそんな人。



「時雨ちゃん。あのさ…」

「なんですか?」

「今度、一緒に地上を見てみないかい?」


突然の誘いに、ドキッとした。
今までお店以外で会おうなんて言ったことなかったのに。


「ダメ…かな?見せたいものがあるんだ!」


いつになく真剣な加賀さんは、どこか照れたような顔をしていた。
私のために勇気を出してくれたのかな?
自惚れでも、その気持ちは嬉しかった。


「いいですよ。」

「本当かい?よかったぁ。」

「加賀さん、緊張してます?」

「そ、そんなことはないよ。」

「ふふ。楽しみにしてますから♪」



………………………

この時の私は、これから起こる事なんて全く考えていなかった。
全ては私が選んだ事。

/ 14ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp