第6章 十一年後の君に捧ぐ、最初の敬礼
扉が開いた。
入ってきた兵士の姿を見た瞬間、俺の手がピきりと止まった。
ガチリ、と派手な音を立てて、鷲掴みにしていたカップが机に置かれる。
「……っ」
そこに立っていたのは、あの日、俺の腕の中から消えたあのガキ――いや、11年の歳月を経て、当時の俺の年齢になった、の姿だった。
「……リヴァイ。待たせてごめんなさい。自力で歩けるようになるまで、1年もかかっちゃった。……でもね、ちゃんと自分の足で、あなたのところへ戻ってきたよ」
夢じゃねぇ。陽炎でもねぇ。
俺にとっては1年と少しぶり。
けれどあいつにとっては、10年の暗闇と、1年間の生き地獄のようなリハビリを乗り越えて掴み取った、執念の再会だ。
目の前にいるのは、生身の、血の通った俺の女だ。
俺は弾かれたように立ち上がり、一歩で距離を詰めると、の身体を思い切り抱きすくめていた。