第6章 十一年後の君に捧ぐ、最初の敬礼
その凛とした敬礼を見て、俺は呆れたように目元を押さえた。
胸の奥を締め付けていたこの1年間のクソったれな焦燥感が、一瞬で溶けていくのが分かった。
「……心臓だと? んなもん、お前が俺の前から消えた時から、ずっと俺が預かってる」
俺はの腕を掴んで引き寄せ、今度は壊れ物を扱うように優しく、けれど二度と離さねえという確信を込めて、その唇を塞いだ。
重ねた体温は、あの日消えかけた時の冷たさとは違う、確かに生きている人間の熱だった。
「よく戻った、。……お前が交わした約束は、今ここで果たされた」
「うん、ただいま。リヴァイ」
窓の外には、あの日彼女を見送った時と同じ、広い青空が広がっていた。
時を超え、11年の空白を埋めるように重なり合う鼓動。
もう二度と、この手を離すことはない。
俺たちはこの過酷な世界で、今度こそ二人だけの新しい時間を刻み始める。