第5章 宿主を持たない刃
「そんなクソみたいな血の呪いなんざ、最初からねぇよ」
「え……?」
リヴァイの低い声が、地下室の壁に反響した。彼の瞳の奥にある熱は、上官のそれではなく、完全に一人の男としての執着だった。
「本能だの主だの、そんなもんに自分の命を委ねるな。お前を動かすのはお前の意志だ。……もしどうしても縋る理由が欲しいってんなら、俺がその理由になってやる」
「それは……命令、ですか?」
「命令じゃねぇ。お前のその出来損ないの刃を、俺の意志で、俺のために振るえって言ってんだ」
リヴァイの顔が近づき、彼の額が私の額に強く押し付けられる。
本能の覚醒による頭痛なんて起きない。
ただ、彼の圧倒的な体温と存在感が、私の冷え切った思考を狂わせていく。
「お前をただの兵器として死なせてたまるか。戦うなとは言わねぇ。だが、次に自分の身体を壊したら……俺がお前を、この部屋のベッドに一生縛り付けてやる」