第5章 宿主を持たない刃
リヴァイは私の血で汚れた手を容赦なく掴み、乱暴にベッドへ押し付けた。
そのまま、私の腕に包帯を巻き始める。
「痛っ……!」
「痛いだと? 自分の身体を玩具みたいに消費しておいて、よくそんな口が利けるな」
彼の三白眼が、見たこともないほどの怒りで燃えていた。
リヴァイは私と同じ血の匂いを感じ取っている。
だからこそ、自分の力をコントロールできずにボロボロになっていく私を見るのが、たまらなく不愉快なのだ。
「私は兵器ですから。兵長のように綺麗に戦えないんです。どうせ長くは生きられませんし、戦力になるうちに削らないと」
私が自嘲気味に笑った瞬間、リヴァイの大きな手が私の胸ぐらを掴み、至近距離まで顔を近づけてきた。
彼の鋭い呼吸が肌に当たる。
「ふざけたことを抜かすな。お前はただの、血の通ったガキだ。勝手に自分の命の価値を決めてんじゃねぇ」
包帯を巻き終えたリヴァイが、ふと視線を落としたまま呟いた。その手は、カップのフチを上からガシッと鷲掴みにして、冷めかけた紅茶を口に運んでいる。
「何がですか?私には宿主もいませんし」
「……お前、さっきから主だの何だの、血統のオカルトを本気で信じてんのか」
包帯を巻き終えたリヴァイが、ふと視線を落としたまま呟いた。
その手は、カップのフチを上からガシッと鷲掴みにして、冷めかけた紅茶を口に運んでいる。
「だって、私は誰を見ても『この人のために戦う』なんて本能は湧きません。だから私は、誰の刃にもなれない失敗作なんです。誰かを守るためじゃなく、ただ目の前の敵を殺すためだけに、この出来損ないの力が動いているんです」
それを聞いたリヴァイの表情が、酷く歪んだ。
やり場のない怒りと、同じ血を引く者としての深い憐憫。
彼は鷲掴みにしていたカップを乱暴に机に置くと、私の両肩を、骨がきしむほどの強さで掴み込んできた。