第5章 宿主を持たない刃
独占欲すら混じったその脅し文句が、不思議と心地よかった。
「アッカーマンの血」という不確かな呪縛から解き放たれ、ただ壊れるためだけだった私の刃に、初めてリヴァイという強固な鞘が与えられたような、そんな奇妙な安堵感が胸を満たしていく。
「……分かりました、リヴァイ兵長。私の命は、あなたのものです」
私がそう言うと、リヴァイは満足したように、けれどどこか切なげに私の髪を乱暴に撫で回した。
「分かったなら、二度と死ぬなんて口にするな。……行くぞ、ガキ。お前のクソみたいな戦い方を、俺が一から叩き直してやる」
彼は私の手を引き、医務室の扉を開けた。
私の身体は、これからも戦うたびに傷つき、壊れていくのかもしれない。
けれど、隣を歩くこの人類最強の男の腕が、私がバラバラになる前に、何度でも強く抱きとめてくれるのだと確信していた。
本能の奴隷なんかじゃない。
私は私の意志で、この人のために、この命が尽きるまで刃を振るい続ける。