第4章 紅茶の香りは前世の記憶
先生は紅茶を飲み干すと、ふぅと深い息を吐き出して、いつもの「鬼教師」の顔に戻った。
だけど、出席簿を片付けるその指先は、どことなく名残惜しそうに動いている。
「家庭訪問は以上だ。……来週からの小テスト、一問でも落としたら容赦なく居残りだからな」
「うぇっ、厳しいなぁ……。リヴァイ先生って、本当に容赦ないですよね」
私がわざとらしく頬を膨らませると、先生は立ち上がり、私のすぐ目の前で足を止めた。
見上げる私を、先生はじっと見つめる。その視線は、私の制服や、現代の子供っぽい部屋を通り越して、もっと深い場所にあるなにかを見つめているようだった。
「当たり前だ。俺はお前の担任だからな」
その言葉の裏に、『今度こそ、お前を死なせない。俺の目の届くところで、今度こそ平和に生き抜け』という、私には分からない強い誓いが隠されていることを、今の私はまだ知る由もない。
ただ、先生の背中が、なんだか少しだけ孤独に見えて、私は胸の奥がきゅっと切なくなった。