第4章 紅茶の香りは前世の記憶
「お待たせしました。……どうぞ」
リヴァイ先生は無言でカップを手に取った。
カップの本体を持つという独特な持ち方だ。
だが、紅茶が彼の喉を通った次の瞬間。
「……っ」
先生の手が、ピきりと止まった。
さっきまで私を睨みつけていた鋭い瞳が大きく見開かれ、カップを見つめたまま固まっている。
その顔は、まるで酷く恐ろしいものか、あるいは、ずっと探し求めていた奇跡を目の当たりにしたかのように激しく動揺していた。
「あ、あの、先生……? 熱すぎましたか? それとも、やっぱり薄かったでしょうか……」
私が恐る恐る声をかけると、先生はゆっくりと顔を上げた。
その瞳に宿っていたのは、いつもの厳しい教師の光ではない。
どこか遠くにある大切なものを必死に追いかけるような、胸が締め付けられるほど切ない、大人の男の目だった。