第3章 3
翌朝──
甲板には朝の光が差し込んでいた。
ことみはデッキブラシを手に、甲板を右へ左へと行ったり来たりしながら床をこすっている。
ナミに借りたお金のことを思い出すたび、手の動きだけが少し速くなる。
(ちゃんと返さないと……)
その様子を、少し離れた場所からサンジが見ていた。
「……おい」
声がかかる。
ことみが顔を上げる。
「はい?」
サンジは軽く顎で指す。
「昨日選んでやった服、どうしたんだよ」
「あ、それは……」
一瞬言いよどんでから、視線をそらす。
「なんか着るのもったいなくて……次の島で着ます」
「は?」
サンジが眉をひそめる。
「選んでやったんだから着ろよ」
「だって、ちゃんとしたときに着たいんです!」
「なんだそりゃ」
呆れたように言いながらも、サンジは小さく息を吐いた。
「まぁ、お前らしいけどな」