第2章 2
そのあともしばらく、ことみは店の中を行ったり来たりしていた。
最初は緊張してまともに触れなかった服も、今は自分から手に取れる。
「これは……ちょっと違うか」
「そっちはお前転びそうだな」
「なんでですか!?」
「なんとなく」
そんなやり取りを繰り返しながら、気づけば腕の中には何着か服が増えていた。
店員が「お会計まとめますねー」と笑いながら近づいてくる。
ことみは抱えていた服を見下ろして、少しだけ目を丸くした。
「……こんなに選んでたんだ」
「お前が見始めると長ぇタイプなのは分かった」
「サンジくんが勧めるからです!」
「俺のせいかよ」
サンジが笑う。
ことみはそこで、はっとしたようにポケットを探った。
「あ、そうだ」
取り出したのは、ナミから渡されていた小さなお金の入った袋だった。
『この島で使うお金。あとでしっかり返してもらうからね』
出発前の声が頭の中で蘇る。
ことみは袋を握りながら苦笑した。
「返済付きでした……」
「ハハ、ナミさんらしいな」
サンジは呆れたように笑う。
「容赦ねぇだろ、あの人」
「めちゃくちゃ真顔で言われました」
ことみは小さな袋を見下ろして、
「……頑張って働こう」
と小さく呟いた。