第2章 2
その一言だけなのに、ことみの心臓がまた変に跳ねる。
試着室のカーテンを握ったまま、なんとか平静を装おうとするけれど、
頬が熱いのは自分でも分かった。
「そ、そうですか……?」
「おう」
サンジは近づきながら、改めて全体を見る。
「サイズも合ってるし」
肩の辺りや袖を軽く見てから、ふっと笑った。
「かわいいし、似合ってる」
「……っ」
その言い方が自然すぎて、余計に破壊力があった。
ことみは思わず視線を逸らす。
(むりむりむり……)
推しに面と向かってそんなこと言われるなんて聞いてない。
しかも本人は、多分そこまで深く考えてない顔をしている。
「な、なんか……すごい」
「何がだよ」
サンジが笑う。
「いや、自分じゃ絶対選ばない感じだったので……」
袖を軽くつまみながら言うと、
サンジは軽く肩をすくめた。
「だから俺が選んだんだろ」
その返しがまた自然すぎて、ことみはますます顔を上げられなくなる。