第2章 2
少し前を歩くサンジの背中を追いながら、ことみはまだその言葉の余韻を引きずっていた。
(選んでくれるって……普通にすごくない?)
視線を落としたまま歩いていると、サンジがちらりと振り返る。
「ぼーっとすんなよ。人多いぞ」
「っ、はい!」
慌てて顔を上げると、すぐ横を荷物を抱えた人が通り過ぎていく。
港町の通りは思った以上に人が多く、左右から声が飛んでくる。
「おい兄ちゃん、魚いるかー!」
「焼き立てだよ!」
そんな中でも、サンジは迷いなく進んでいく。
(ほんとに慣れてる……)
その背中を見ていると、さっきの“選んでやる”という言葉が、少しだけ現実味を帯びてくる。
やがてサンジが足を止めた。
「この辺だな」
見上げると、通りの一角に小さな服屋が並んでいる。
派手すぎないけど、どこか生活の匂いがする店ばかりだ。
サンジは軽く顎で一軒を示す。
「こことか無難だろ」
そして、ことみの方を見る。
「どうする?入るか」
その声はいつも通り軽いのに、ちゃんと待ってくれている感じがあった。