第2章 2
外に出ると、人の声と屋台の匂いが一気に広がる。
歩き出しながら、ことみはふと自分の服に視線を落とした。
(そういえば……)
今着ているのは、ナミに借りたものだけだ。
「……あの」
小さく声を上げると、サンジが横目で見る。
「どうした?」
ことみは少し言いにくそうに服の裾をつまむ。
「私、ナミさんに借りた服しかなくて……」
「あぁ」
サンジは短く相槌を打つ。
少しだけ間を置いて、軽く笑った。
「……俺が選んでやろうか?」
「え?」
ことみが顔を上げると、サンジは肩をすくめる。
「どうせ買うなら、変なの選ばれても困るしな」
冗談っぽいのに、どこかちゃんと気にしている言い方だった。
サンジはそのまま続ける。
「ついでに見りゃいいだろ」
「街見るってのはそういうのも含むだろ」
ことみは一瞬きょとんとして、それからぱっと表情をゆるめる。
「……いいんですか?」
小さく息を吸って、嬉しさがそのまま出る。
「こういうの選んでもらえるの、なんか……ちょっと嬉しいです」
サンジは一瞬だけ目を細めて、ふっと笑う。
「そりゃどうも」
それだけ言って、自然に歩き出した。