第2章 2
気づけば、テーブルの上の皿はほとんど空になっていた。
最初は落ち着かなかった店の騒がしさにも、少し慣れている。
ことみはグラスの水を飲みながら、小さく息を吐いた。
「……おいしかった」
素直にこぼれる。
サンジは煙草をくわえ直しながら、少しだけ笑った。
「そりゃよかった」
店の奥ではまだ誰かが笑っていて、厨房からは忙しそうな声が飛んでいる。
港町らしい賑やかさは、入ってきた時より心地よく感じた。
サンジは椅子を引いて立ち上がる。
「さて、どうするか」
「え?」
「まだ少し時間あるだろ」
そう言って店の外をちらりと見る。
夕方が近づいているのか、通りの光は少し橙色に変わっていた。
「このまま船戻るのもつまんねぇし」
軽い調子で言ってから、ことみを見る。
「少し街見るか?」
「……いいんですか?」
思わず聞き返すと、
サンジは呆れたみたいに笑った。
「今さら遠慮すんなよ」
そう言って店の扉を開ける。
外から夕方の風と、港町の騒がしい空気が流れ込んできた。