第2章 2
ことみはスープを飲みながら、落ち着きなく店の中を見回した。
店員は大声で注文を通してるし、隣の席では知らないおじさん達が笑いながら酒を飲んでる。
壁には見たことのない魚の骨みたいなものまで飾ってあった。
全部ごちゃごちゃなのに、妙に楽しい。
「……すごい」
ぽつりと漏れる。
「何がだ?」
サンジが煙草をくわえたまま聞き返す。
「なんか全部です」
思わず身を乗り出す。
「島の感じも、ご飯も、人も……」
「海賊とか普通に歩いてるし!」
「おう」
「変な魚売ってるし!」
「おう」
「しかもご飯めちゃくちゃ美味しいし!」
「そこ重要か?」
「重要です!」
即答してから、ことみは少しだけ笑った。
「……サンジくんのご飯も美味しいし」
その瞬間、
サンジが少しだけ目を瞬かせる。
でもすぐに、ふっと口元を緩めた。
「そりゃどうも」
どこか照れ隠しみたいに煙を吐く。
ことみは気づけば、さっきよりずっと普通に話していた。
怖いより先に、楽しいが来ている。
知らないものばっかりなのに、
それを“見てみたい”って思ってる自分がいた。
「なんか冒険って感じします……!」
「ハハ、今さらかよ」
サンジは笑いながらグラスを傾ける。
その横顔を見ながら、ことみはまた少しだけ思う。
(ほんとに来ちゃったんだなぁ……)
まだどこか夢みたいで、
でもその夢は、思っていたよりずっと温かかった。