第2章 2
しばらくすると、厨房の奥から一気に料理が運ばれてきた。
湯気の立つスープ。
こんがり焼かれた魚。
香草の匂いが広がる肉料理。
そして焼きたてのパン。
「うわ……」
思わず声が漏れる。
量も多いけど、何より匂いがすごかった。
腹の奥を直接刺激してくるみたいに、香りだけでお腹が空く。
「食ってみ」
サンジが当然みたいに言う。
ことみは恐る恐るスプーンを手に取った。
まずはスープを一口。
その瞬間、
「……っ!」
思わず目を見開く。
野菜の甘みがしっかり出ているのに、後味は重くない。
体の奥にじんわり熱が落ちていく。
「おいし……」
気づけばその言葉が漏れていた。
サンジは頬杖をつきながら、その反応を見る。
「そりゃよかった」
どこか満足そうな声。
ことみは慌てて次を口に運ぶ。
魚も、パンも、全部ちゃんと美味しい。
というか、
(この世界、ご飯レベル高くない……?)
真剣にそう思った。
その様子を見て、サンジが小さく笑う。
「腹減ってたんだろ」
「……はい」
「さっきから顔に出てた」
「そんなにですか!?」
「そんなに」
即答。
ことみは少し恥ずかしくなって視線を落とす。
でも、
「……ちゃんと食えるなら安心だ」
続いた声は思ったより静かだった。
一瞬だけ、動きが止まる。
顔を上げると、サンジはもう煙草をくわえ直していた。