第2章 黒尾先輩の彼女がただ強いだけの話(研磨視点)
「もしもしクロ?今どこ?」
「面談終わって教室出たとこよ、どした?」
「が休憩中に人投げ飛ばしたよ」
「なげっ!?……は?今人投げたっつったか?」
「うん」
「え?どゆこと?意味わかんねぇんだけど」
「早く来ないと相手死ぬかも」
「わ、わかった秒で降りるからそれまで頼む!」
廊下を蹴る音を最後に途切れた通話と、目の前で繰り広げられる大乱闘。
福永が息遣いの荒いを後ろから羽交締めにしたその数メートル先、庇うように両手を目一杯広げて、必死にやめろと懇願する青ざめた虎の足元には3体の屍。蹲って情けない声で唸ってる。
活発な女子はお喋りが得意でお口が達者で、対する男は脳の造りが違うせいか、機関銃のように言葉を当てられたらだいたい勝てない。
リミッターが外れた未熟なヤツほど力に頼って強行突破しようとするけど、残念。
彼女はお口も腕っぷしも達者なのだ。
「なんだこのカオス」
「キレたが暴れただけだよ」
「だけ、で片付けられる雰囲気じゃないでしょこれ」
「でもの気持ちが分かるから虎も福永もすぐには止めなかったんだと思うよ」
へらへらちゃらちゃら、誰にでも良い顔。ああいう奴こそ裏で何してるか分からない。他人を手のひらの上で言葉巧みに転がして、都合の良い駒にしか思ってない。
女遊びも絶対激しいだろ、なんせ口が上手いから。
彼女の目の前、わざわざ足まで止めて吐き出したんだ。こうなっても仕方ないよねと、漸く呼吸が落ち着いて、それでも未だ茫然と立ち尽くすの変わり、なりふり構わず駆けつけただろうクロに言ってやれば呆れとも叱責とも違うため息がクロから溢れた。