第7章 赤葦に可愛く思われたくて色々するけど全部空回っちゃう話
ほんっとに私って単純。低くて優しい大好きな京治の声が耳のすぐ傍で聞こえしまったら、割と真剣に悩んでいたことのはずなのに、まるで最初からなかったみたいにすっと消えてなくなっていくんだから不思議だ。
「ああでも、」
「ちょ、京治っ」
「俺のためにそこまで頑張ってくれたんなら、もっと可愛いさん見たくなってきた」
「ん、やめっ、先ごはん!」
服の中に潜り込んだままの京治の指がお腹のなだらかな曲線をなぞるように滑って、あからさまに動きが変わったのが分かってしまった。触れるか触れないかギリギリのラインで、そこからじわじわと痺れるような熱が広がっていく。
抵抗するも時既に遅し。片方の手で私の両手を簡単に掴んだ彼は自分の唇で耳朶まで噛んでくる始末。そこが弱いのを知っていて弄ってくるあたり、私がどれだけ宥めても彼はもう止まると言う選択はしない。
「さん」
「………あとでシチューあっためて他のおかずもチンしてくれるなら、……いいよ」
振り向かされて見上げた彼は案の定、スイッチの入った艶っぽくて不敵な笑みを乗せていた。
寝室までの距離、僅か数十歩。
部屋に入って次に出てくるまでの数時間、全身を溶かすような甘い言葉と刺激に、あざとい作戦の続き、ここでじっくり聞かせてねと低く掠れた声で囁かれ、私はただ彼の腕の中で翻弄されることしかできなかった。