第5章 恋愛の三種の神器を語っていたら目の前の男が全部持ってた話②
「おねがっ、あっ、だめ」
「ほら、もうちょいやろ、がんばれよ」
「あっ、あっ、イっ、……イくっ、イくっ、あ、あ、あああっ」
「あーあ、イってもうた」
がくがくと足が震えて電流が走る感覚に頭の中が真っ白になった。快楽の1番高いところまで連れて行かれた体はタガが外れたみたいにまだ足りないと疼くけど、
「え?ちょ、おまっ、ごめん、痛かったか?」
「……ち、がう」
「何が違うねん、ほんならなんで泣いてんねん」
「ちがう、の」
乱れる呼吸はまだ整わない。酸素を吸うばかりで吐き出すことを忘れた肺は痛くて痛くて。でも心はすごい勢いで満たされていく。
彼の目も唇も指もその全てで愛されていると分かってしまった。分かってしまったら泣かないなんて無理だった。
「こっち、きて」
「……っ」
「おねがい」
「なんなん」
「ぎゅってして」
「……おまえもーほんまに、なんなんまじで」
僅かな距離でさえもどかしくて、もっと温もりがほしくて力の入らない両手を伸ばせば一瞬驚いた表情の治が倒れてくる。
壊れたオーディオみたいに同じ言葉を繰り返す彼の心臓は私のそれよりずっと早くて、緊張していたのは私だけじゃないんだと思わされた。
頭ごと抱えられ目一杯力を込められて苦しいはずなのに、その苦しささえも快感に変わる。治の与えてくれる物はどこもかしこも私をおかしくさせるんだ。
「お前のせいで台無しやわ」
「なに、が」
「せっかく大事に抱こうと思とったのに」
「んうっ、あ、まって」
「こんな可愛いことされたら歯止めきかんなるやろ」
「や、ほんとにまって、おさ、むっ」
「待たんわアホ」
「あ、ああっ」
突然の下腹部の違和感に息ができなくなる。ゆっくりなのに質量の多い欲の塊が奥まで入ってきて、それだけで目の前がチカチカしてしまう。上の壁を頻りに擦られると、聞こえるのはひっきりなしに漏れる自分のはしたない声だけだった。
気持ちよすぎてどうにかなりそうでなにも考えられなくなる。上体を起こした治が私の足を自分の肩に引っかければ、1番深い所に届いて呆気なく果ててしまった。