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【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】

第1章 1


ふと、透の横顔に目を留める。ほろ酔いで上気した肌、潤んだ山吹の瞳。いつもより赤い耳の先。

——やばい、と思った。何がとは考えないようにする。

「おい。

もうその辺にしとけ。弱ェんだから。」

「爆豪くんも、赤くなってるよ」

透は上機嫌にニヤニヤと笑い、爆豪の頬をつつく。

つつかれた頬が一瞬でさらに赤くなる。

「うるせぇ。これは——暑ィだけだ。」


6月にエアコンの効いた室内でその言い訳は無理があった。


透の手首を掴み、つついてきた指をそのまま押さえる。振り払うでもなく——離さない。

「てめぇこそ人のこと言える状態かよ。ふらふらしてんの丸分かりだぞ。」

声は荒いのに、手首に込められた力は驚くほど優しい。

「爆豪くんより早く飲んでたからね。」

掴んだ手首はそのまま、もう片方の腕が透の背中に回る。ぐ、と引き倒すように自分の胸元へ。

「だからもう飲むなっつってんだろ。」


声は低く、ぶっきらぼうで、けれど透を抱き込む動作には一切の迷いがなかった。
鼓動が直接伝わるほどの密着。Tシャツ越しに爆豪の体温が直に届く距離。


頭のてっぺんに顎を乗せ、ぼそりと。

「……いい匂いすんな。風呂入ったのか。」

「うん、飲む前にお風呂入った。」

その返事を聞いた瞬間——抱きしめる腕にわずかだが力が加わった。

「そうかよ。」


たった一言。けれど爆豪の中で何かのスイッチが切り替わったのは明白だった。首筋に当たる吐息が、さっきより少しだけ熱い。


顎を透の頭から離し、顔を覗き込むように体を少し引く。赤い目が真っ直ぐに山吹を見据えた。

何も言わない。ただ見ている。——いや、違う。言えないのだ。

代わりに、唇を重ねた。乱暴でもなく、優しくもない、ただ触れたかっただけの不器用なキス。

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