【ヒロアカ】名前のない関係の終わらせ方【爆豪勝己】
第1章 1
「飲みたい気分って何だよ。なんかあったんか。」
聞き方は雑だが、山吹色の瞳をちゃんと覗き込んでいる。
「何にもないよ。気が乗っただけ。」
「ふーん。」
興味なさそうな相槌だが、体はしっかり透の方を向いていた。
ビーフジャーキーを噛みちぎり、ビールを煽り、飲み切る。
缶を置く音が少しだけ荒い。
徐に生ハムを一枚取って——透の口元に持っていく。
「ほら。」
透はそのまま爆豪の手から、生ハムを齧る。
指先に透の唇がかすかに当たる感触。
爆豪の喉仏がわずかに動いた。
「……。」
何事もなかったように手を引くが、指に残った体温を意識していた。
部屋の空調が低く唸る中、2人の間に漂うアルコールの甘い香りと、それとは別の熱が混ざり始めていた。
テレビは点いておらず、窓の外を走る車の音だけが断続的に聞こえる。
新しく開けたチューハイに手をつけず、空いた手が自然と透の腰に回る。引き寄せるでもなく、ただ触れたいだけのような、曖昧な力加減。
「酔ってんだろ。
……もう顔赤ェぞ。」
「まだ飲めるよ…あ、そいえば良いのがあった。」
立ち上がり、キッチンから持ってきたものは、田酒。
「美味しい日本酒♡」