• 小
  • 中
  • 大
  • テキストサイズ

【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第9章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ II **


どうして。
こんなに近くにいるのに。

あと少しなのに……!


名前を呼べば、気づいてくれるかもしれない。



「……っ!」



声を出しかけたが、慌てて口元を押さえた。


だめ。

絶対に、だめ。
姑獲鳥は、まだこの中にいる。


ここで恵くんの名前を呼んだら、確実に知られてしまう。
私のいちばん大切な人が、すぐ近くまで来ていることを。

そうなったら、きっと……。



「…………っ」



昨日、名前を呼んでしまった時のことが頭をよぎる。


もう二度と、同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。
でも、このままじゃ恵くんたちは行ってしまうかもしれない。


どうしよう。
声を出さずに、ここにいるって伝える方法はないの?


その時、ふと目の前の白い布に視線が止まった。
よく見ると、布の向こうから、かすかに光が透けている。


外の光が、ここだけ届いてる……。


だったら、こっちから光を当てたら……?
向こう側にも、何か見えるかもしれない。

そうだ、ライト!


急いでさっきしまったスマホをもう一度取り出した。


もちろん、向こう側から見えるかどうかは分からない。
ただ漫然と照らしただけでは、外の光に紛れて見落とされてしまうかもしれない。


かといって、目立ちすぎれば、姑獲鳥に気づかれる可能性もある。


私がここにいるって、恵くんだけが気づいてくれるもの。



……あ。
これなら、きっと――。
/ 406ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp