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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第9章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ II **


♢



廃業したクリーニング工場は、荒川から少し離れた場所にあった。

錆びついた門を抜けると、古びた建物が目に入る。
割れた窓ガラスに、雑草の生い茂った敷地。

もう何年も、人が出入りしていないようだった。


工場の中へ入ると、埃っぽい空気が鼻をついた。
使われなくなった機械が並び、床には古い布や段ボールが散乱している。


玉犬が鼻を地面に近づけながら歩き始めた。
俺も辺りを見回し、呪力の痕跡を探す。


……どこだ。

。
本当に、ここにいるのか?


玉犬の後を追って工場の奥まで進むが、何も見つからない。

隣では五条先生が、壁や天井に視線を巡らせていた。



「うーん。今のところ、それらしいものは見当たらないね」



くそっ。
やっぱり、俺の考えすぎだったのか?


その時、五条先生がぽんっと手を叩いた。



「あ、そうだ。めんどくさいから、工場ごとぶっ飛ばしちゃう?」

「が中にいたらどうするんですか!」

「冗談だって。そんな怖い顔しないでよ」

「笑えませんよ!」

「はいはい。分かってますよー」



まったく、この人は……。


五条先生はいつもの調子で笑っていたが、すぐに表情を戻した。
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