第9章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ II **
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廃業したクリーニング工場は、荒川から少し離れた場所にあった。
錆びついた門を抜けると、古びた建物が目に入る。
割れた窓ガラスに、雑草の生い茂った敷地。
もう何年も、人が出入りしていないようだった。
工場の中へ入ると、埃っぽい空気が鼻をついた。
使われなくなった機械が並び、床には古い布や段ボールが散乱している。
玉犬が鼻を地面に近づけながら歩き始めた。
俺も辺りを見回し、呪力の痕跡を探す。
……どこだ。
。
本当に、ここにいるのか?
玉犬の後を追って工場の奥まで進むが、何も見つからない。
隣では五条先生が、壁や天井に視線を巡らせていた。
「うーん。今のところ、それらしいものは見当たらないね」
くそっ。
やっぱり、俺の考えすぎだったのか?
その時、五条先生がぽんっと手を叩いた。
「あ、そうだ。めんどくさいから、工場ごとぶっ飛ばしちゃう?」
「が中にいたらどうするんですか!」
「冗談だって。そんな怖い顔しないでよ」
「笑えませんよ!」
「はいはい。分かってますよー」
まったく、この人は……。
五条先生はいつもの調子で笑っていたが、すぐに表情を戻した。