第9章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ II **
『恵くんと、えっちしちゃった』
「…………っ!」
おい、こんなことまで書いてんのかよ。
誰かに、昨日のこと話したのか?
その下に続く文を読み進めていくと、どうやらこれは日記のようだった。
……いや、待て。
これ、俺が読んでいいやつなのか?
悪い、。今だけ、許してくれ。
『まだドキドキしてる。恵くんの匂いも、触れられたところも、ずっと残ってるみたい。
最初は痛かったけど、たくさん抱きしめてくれて、いっぱいキスしてくれて、すごく幸せだった。
恵くんはどう思ったのかな。
私のこと、少しは女の子として見てくれたのかな。
本当は、こんなこと残しちゃいけないのに。
私にとっては一生忘れたくない夜だった。
だから、このノートに書くことだけは許して』
昨夜のことを、がどう思っているのか。
痛くなかったか、無理させてなかったか。
正直、ずっと気になっていた。
『すごく幸せだった』って。
よかった。
が昨日のこと、後悔してないことがわかって。
俺だって、とああなることをずっと望んでいた。
好きでもない相手に、あんなことするわけねぇだろ。
あの時、ちゃんと伝えてやればよかった。
……後悔してる場合じゃねぇ。
まずは、を見つけることが先だ。
俺は気持ちを切り替え、ノートの次のページをめくった。
そこには、今日の任務で書いたらしい言葉が残されていた。
『狗巻先輩、お疲れ様でした』
『私は、少し買い物をしてから帰ります』
は自分から、狗巻先輩たちと別れて一人になったってことか。
『恵くんと付き合ってるんじゃないの?』
なんだ、これ。
俺が誰かと付き合ってるって?
何の話してんだ、これ。
残りのページにも目を通すが、ほとんどが白紙だった。
諦めてノートを閉じようとした、その時。
書き込みのある最後のページの隅に、文字があることに気づいた。