第9章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ II **
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祓い終えた呪霊が、黒い塵になって消えていく。
それを最後まで見届けたところで、隣にいた狗巻先輩が親指を立てた。
「しゃけ」
私もこくりと頷いて、同じように親指を立てる。
今日の任務は、思っていたよりずっと早く片付いた。
二級程度の呪霊が一体。
狗巻先輩が呪言で動きを止めてくれたおかげで、特に苦戦することもなく祓うことができた。
『狗巻先輩、お疲れさまでした』
ノートにそう書いて見せると、狗巻先輩がその表紙を指差した。
「ツナマヨ」
「……?」
ノートのことかな。
青紫色のカンパニュラが控えめに描かれた表紙は、上品で可愛くて、私のお気に入りだ。
それに、何よりこれは――。
『恵くんが買ってくれたんです』
狗巻先輩が、私とノートを交互に見る。
「……こんぶ」
「?」
なぜか、すごく納得したように頷かれた。
どういう意味だろう。
でも、このノートを褒めてもらえたことが嬉しくて、表紙の花をそっと撫でた。
帳が解けたのを見て、補助監督さんがこちらへ駆け寄ってきた。
「お疲れ様でーす。お二人とも、怪我はないですか?」
「しゃけしゃけ」
私も大丈夫だと伝えるように、こくこくと頷いた。
「よかったです。それじゃあ、高専に戻りましょうか。車、近くに停めてありますので」
補助監督さんが歩き出そうとしたところで、私はノートを開いた。
『私は、少し買い物をしてから帰ります』
「分かりました。では、気をつけて戻ってください」
『はい。ありがとうございます』
狗巻先輩にも軽く頭を下げる。
『お疲れさまでした。また高専で』
「しゃけ」
狗巻先輩がひらひらと手を振る。
私も手を振り返して、二人とはそこで別れた。