第9章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ II **
「えー、せっかく僕がアドバイスしてあげようと思ったのに」
「いりません! 少なくとも、あんたには聞かないです」
朝から何なんだ、この人は。
デリカシーのかけらもない。
俺は一度深く息を吐いて、改めて五条先生を見る。
「ていうか、何か用事があって俺を呼び出したんじゃないんですか?」
「あー、そうそう」
五条先生が、ようやく思い出したように手を叩く。
「僕もちょっと、の縛りのことが気になってさ。前から伊地知にいろいろ調べてもらってたんだけど――」
「――五条さん!!」
切羽詰まった声に振り向くと、補助監督が息を切らしながら、こっちへ駆けてくる。
「どうしたの?」
「先ほど、都内の荒川付近で、呪霊の残穢が確認されました」
それを聞いた五条先生の表情が、すっと変わった。
荒川って……確か。
今日、が狗巻先輩と任務に行ってる場所じゃ――。
「呪霊って?」
「……姑獲鳥のものと確認されました」
昨夜のことが、頭の中で一気に繋がった。
が声を出した。
そして今、姑獲鳥が現れた。
偶然とは思えない。
「それで、は……?」
自分でも分かるくらい、声が掠れた。
補助監督が一瞬、言葉に詰まる。
その顔だけで、嫌な予感が確信に変わった。
「……さんの所在が、確認できていません」