第9章 【伏黒恵】君に響くカンパニュラ II **
乱れたシーツ。
床に落ちたままの俺の服。
そして机の上には、が昨日返しに来てくれたTシャツと、昨夜あいつに貸した俺のTシャツが、二枚重なってきれいに畳まれて置かれていた。
手に取っても、もうの体温なんて残っていない。
なのに、昨夜あれを着て俺の腕の中で眠っていた姿が頭に浮かんだ。
早く会いたい。
昨日のことをちゃんと聞きたい。
が俺の掌に書いた言葉も。
最後に、何かを伝えようとしていたあの唇も。
全部。
そして、今度こそ言う。
昨日みたいに、飲み込んだりしない。
がどう思っていたとしても。
忘れてほしいと言われても。
俺は、ずっと好きだったって。
ちゃんと伝えよう。
その時、机の上に置いていたスマホが震えた。
画面を見ると、五条先生からメッセージが届いている。
『恵、五分後に自販機前集合〜』
朝から何なんだ。
用件くらい書けよ。
そう思いながらも、どうせ無視したところで面倒になるだけだ。
それに、俺からも話しておきたいことがあった。
が縛りを破って声を出したこと。
今のところ何も起きていないが、あの人の「六眼」なら何か分かるかもしれない。
俺はスマホをポケットに突っ込んで、集合場所に向かった。