第8章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない Ⅱ**
今もが嫉妬してくれてるなら、別に良くない?
が変わらず僕のこと好きってことじゃん。
だったら、前と同じじゃないか。
じゃあ。
なんで僕、こんなに気にしてんの?
その時、隣を歩いていたが突然足を止めた。
「?」
はココアの缶を両手でぎゅっと握って、俯いたまま。
「……あの、先生。わ、私……帰ります」
「…………は?」
思ってもみなかった言葉に、つい素が出てしまった。
がびくっとして、ますます俯く。
……あ。ちょっと声、低かったか。
「帰るって……映画は? プリンも食べないの?」
「今日は……やめておきます」
なんで?
なんで急に……いや、帰りたいなら帰せばいい。
今までだって、そうしてきただろ。
「そっか。じゃあ、近くの駅まで送ってくよ」
「すみません……あと、プリンとか歯ブラシも。せっかく買ってくれたのに。後でお金払いますから」
が申し訳なさそうに、ぺこりと頭を下げた。
謝るくらいなら、帰るとか言わなきゃいいのに。
プリンだって一緒に食べればいいじゃん。
歯ブラシだって、無駄にしたくないなら泊まればいい。
さっきまで、もそのつもりだったくせに。
「そのぐらい別にいいよ」
「…………」
また沈黙。
会話続かない。
はさっきから僕と目を合わせようとしないし。
なにこれ、今日あんなに近かったのに。
急に遠くなったみたいで。
このまま帰らせるのもなんか嫌だけど。
高専帰ったら、は恵と会うのかな。
それはもっと嫌だな。
「……あー」
耐えきれなくなって、僕から口を開いた。
「さっきの、気にしてる?」
「……え?」
やっとがこっちを見た。
「コンビニで会った人。別に、なんでもないから」
いや、これじゃ伝わってないか。
「特別な関係じゃないっていうか。ほら、僕モテるからさ」
「……そうですね」
あれ。
なんか、逆に距離離れてる?