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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第8章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない Ⅱ**


「行こ、」

「え、あ……はい」



の肩に手を添えて、その場を離れようとした。



「……? って……悟、もしかして――」



女はの顔をまじまじと見て、何かに気づいたらしく、口元がにやっと緩む。



「なーんだ。そういうこと? 今度する時は、私も先生って呼んであげるね」

「…………」

「じゃあね、悟先生」



すれ違いざま、女が僕の腕を指先でそっと撫でた。
ひらひらと手を振って、店の外へ消えていく。

あとに残ったのは、まだ微かに漂う甘い香水の匂いだけだった。


隣を見ると、は俯いたまま動かない。



「――」

「……ぁ」



呼びかけた途端、が顔を上げた。



「私、ココア買うの忘れてました。先生、先にお会計しててください」



そう言って、僕の返事も待たずに通り過ぎていった。



・
・
・



コンビニを出て、マンションへ戻る途中。
僕たちはずっと黙ったままだった。

行きはあんなにくだらないことを喋ってたのに。


は僕より半歩くらい後ろを歩いている。
ずっと俯いたままで、顔はよく見えない。


……ってか、タイミング悪かったなぁ。
よりによって、がいる時に会うなんて。

完全に会話聞こえてたよね、あれ。


まあ。
僕が今まで女と遊んでたことくらい、だって知ってると思う。
別に、隠してたわけじゃないし。


むしろ前はわざと見せたことだってあった。

僕が女の子と話してるだけで、わかりやすいほどしゅんとするが可愛くて。


それを見るたびに。
ああ、やっぱりは僕のこと好きなんだなって。
それを確かめるのが楽しかった。

もっと気にすればいいのに。
もっと嫉妬して。
僕のことで、もっと振り回されればいいのにって。


なのに、今日はまずったよなぁ。






……あれ?
僕、に聞かれたくなかったって思ってる?
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