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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第8章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない Ⅱ**


映画見ながら食べるなら、もっとあってもいいか。


僕はの小さな後ろ姿から視線を外して、再びスイーツの棚に向き直った。


シュークリームに、エクレア。
あ、期間限定のクレープもあるじゃん。

伊地知に経費で落とさせるから、とりあえず全部カゴに入れとこ。
が食べなくても、僕が全部食べればいいし。


次々と甘いものをカゴに放り込んでいると。



「……悟?」



不意に名前を呼ばれて振り返る。
見覚えのある女が立っていた。


この匂い。
この胸。

名前は……やっぱり思い出せない。



「こんなとこで何してるの?」

「……まー、買い物?」



適当に答えて、持っていたカゴを軽く揺らしてみせる。
女は大量のスイーツが入ったカゴに一瞬目をやっただけで、すぐ僕を見た。



「てか、この前ひどくない? えっち中に、別の人の名前呼ぶなんて」



あー……言ったかも。
ていうか、言った。

あの時、頭ん中でいっぱいだったし。



「そうだっけ?」

「そうだっけ、じゃないよぉ。しかも、その後ぜんぜん連絡つかないし」

「ちょーっと忙しくてね」

「ほんとに?」

「ほんとほんと」

「じゃあ今日、この後暇?」

「…………」



まだ続くんだ。
一気に面倒くさくなってきた。



「悪いけど、今日は――」

「……先生?」



後ろから控えめな声がして。
振り返ると、歯ブラシと化粧水を手にしたが、戸惑ったようにこっちを見ていた。



「先生? え、悟って先生だったの? 知らなかった。そういうの全然言ってくれないんだもん」



うるさ。
今それ、どうでもいいんだけど。

女はそんな僕の気分なんて気づかず、今度は興味深そうにへ目を向けた。



「こんばんはー。生徒さん? 悟先生は優しい?」

「え、えっと……」



突然話を振られて、が目を泳がせている。
完全に困ってるな。
まあ、そりゃそうか。



「もういいでしょ」



僕は女の言葉を切って、の手から歯ブラシと化粧水を受け取ってカゴに入れる。
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