第8章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない Ⅱ**
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夜のコンビニには、仕事帰りの人や学生がちらほらいた。
さっきから、周りの人が僕らの方をちらちら見ている。
まあ、目立つよね。
僕みたいなイケメンがいるんだから。
……っていうのもあるけど。
も、結構人目を引く。
ふわっとしてて、柔らかそうで。
ちょっと隙があって。
なんていうか。
気づいたら目で追ってる、みたいな。
……恵も、その一人なわけなんだけど。
なんかまた腹立ってきたな。
少し離れたところにいた大学生くらいの男が、の方を見ていた。
なんとなく気に入らなくて、一歩ずれる。
ちょうど、その男との間に入るように。
「はどれがいい?」
「えっと……」
何も知らないは、僕のすぐ隣でアイスのケースを覗き込んでいた。
「……私、アイスはいいです。温かい飲み物にします」
「ん?」
「ココアとか……」
そっか。
こういう日は、お腹冷やさない方がいいんだっけ。
女の子は大変だな。
僕は自分用の適当なアイスを手に取ると、スイーツの棚へ歩いた。
とろとろの窯出しプリンを手に取り、カゴに入れる。
「はこっち。これ美味しいよ。僕のおすすめ」
「ありがとうございます……」
「あとさ、歯ブラシとかも買っといたら」
「…………歯ブラシ? なんでですか?」
「映画見て、途中で寝ちゃうかもしれないでしょ」
「…………」
が数秒固まった。
それから、ようやく意味が分かったらしい。
頬がみるみる赤くなっていく。
「え、でも……」
「帰りたくなったら帰ればいいし。念のため、ね」
できるだけ何でもないことみたいに言って、の背中をぽんと軽く押す。
「……じゃあ、歯ブラシと化粧水だけ」
小さくそう呟いて、は大人しく日用品の棚へ歩き出した。
それだけで、さっきまで妙に落ち着かなかった気分が軽くなる。