第8章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない Ⅱ**
が好きなのは僕でしょ。
だったら、僕だけ見てればいいじゃん。
が誰と話そうが、誰と仲良くしようが、そんなのの自由なのも分かってるけど。
それでも、嫌なものは嫌なんだよね。
僕しか知らないと思ってたを、恵も知ってる。
僕しか見たことないと思ってた顔を、恵も見てるかもしれない。
「…………ちっ」
丸めたシーツを洗濯機に放り込んで、適当に洗剤を入れる。
蓋を閉めてスイッチを押すと、低い音を立てて、洗濯機が回り始めた。
制服はもう乾いてるから、は帰るんだろうな。
それは。
なんか、やだな。
……え。
今、帰ってほしくないって思った?
この僕が?
用が済んだら、それで終わり。
向こうから「もう少しいたい」って言われたことはあっても。
僕の方から、帰ってほしくないなんて思ったこと――。
「…………ないな」
自分で気づいて、なんとも言えない気分になる。
別に。
今日はもう何もできないし。
がここにいたって、することなんかない。
だけど、またお菓子食べながらテレビでも見て、くだらない話して。
もうちょっと、ああしていてもいいかなって。
僕、寂しいの?
なんか、マジで調子狂うな。
そんなことを考えていると、廊下の向こうから足音が聞こえてきた。
「先生」
案の定、はもう制服に着替えていた。
「Tシャツもありがとうございました。洗ってから返し――」
「、コンビニ行こ」
「……コンビニ?」
「僕、アイス食べたい。映画見ながら食べよ」
がきょとんとしてる。
帰る、なんて言わせる前に、僕はの手を取って玄関に向かう。
「先生、私も一緒に見るんですか?」
「他に誰がいるの」
が一瞬、目を丸くして。
そのあと、嬉しそうにふにゃっと頬を緩めた。
……なんだ。
だって、まだ帰りたくなかったんじゃん。