第8章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない Ⅱ**
息をするのも忘れそうになった頃、ようやく先生の唇が離れていった。
離れたのに。
さっきまで触れていたところが、まだ熱い。
先生の顔も、すぐそこにある。
少し動けば、また唇が触れてしまいそうなくらい近い。
前のキスはもっと激しくて。
何も考えられなくなるくらい、奪われるみたいだった。
でもさっきのは、すごく優しかった。
心も頭もふわふわしてる。
すると、今度は本当に身体までふわっと浮いた。
「ひゃっ」
気づいた時には、先生の腕の中にいた。
背中と膝の裏に腕を回されて、いわゆるお姫様抱っこだ。
「先生、え、降ろして!」
「やだ」
「やだって!?」
先生は私を抱えたまま、すぐそばのベッドへ向きを変えた。
大きなベッドが目に入る。
ベッド行くの!?
ま、まさか、このままえっちなこと──!?
いやいや、何考えてるの私!
ただ添い寝するだけかもしれないじゃん!
考え終わるより先に、背中がマットレスに沈んだ。
ぼふん、とベッドが揺れる。
「せ、先生……」
顔を上げると、先生は私を見ていなかった。
もっと、下の方――。
「っ!」
さっきベッドに放り投げられた拍子に、Tシャツの裾が太腿の上まで大きくめくれ上がっていた。
急いで裾を掴み、引き下ろす。
見られた?
今、どこまで見えた?
先生を見るけど、黙ったまま。
ただ、私をじっと見ている。
その視線が余計に恥ずかしくて、裾を押さえる手に力が入った。
「あ、えと……」
先生もベッドに上がってきて、私との距離を詰めてくる。
咄嗟に身体を起こそうとした時には、もう先生の身体がすぐ上にあった。
先生の長い脚が、私の脚の間へ入り込んでくる。
やだ。
見えちゃう。
パンツ、穿いてないのに。
全部見えちゃう。
必死にTシャツの裾を下へ引っ張るが、先生の大きな手が私の手首を掴んだ。