第8章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を離さない Ⅱ**
「?」
「っ、はい!」
「制服、乾いたんじゃない?」
「あ……」
そうだった。
乾燥機終わったんだった。
本を隠したままブランケットを元あった場所へ戻した。
「……着替えたら、私帰りますね」
先生を見られないまま、横を通り過ぎようとすると。
「、もう少しいれば?」
「……ぇ?」
思いもよらない言葉に、つい先生の顔を見てしまった。
「僕、今日この後の任務なくなったんだよね」
「そう、なんですか」
「そ。急に暇になっちゃった」
それならむしろ、私は早く帰った方がいいんじゃないのかな。
せっかくできたお休みなのに。
私がいたら、ゆっくりできないよね。
「……私なんかいたら、邪魔じゃないですか? 一人でゆっくりした方が――」
「は? なんでそうなるの?」
先生にしては珍しい、少し強い言い方。
でも、すぐに首の後ろに手をやって、気まずそうに目を逸らした。
「あー……いや、一人なんて、いつでもなれるし……別に、帰る理由ないならさ。もうちょっといれば?」
「……いても、いいんですか?」
「僕がいいって言ってるじゃん」
さっきまで、乾燥機が壊れたらいいのにって思ってた。
もう少しだけ、先生と一緒にいたいって。
だけど、さっき見つけた本が頭から離れない。
伏黒くんとのこと、怒ってないの?
本当に何も知らない?
それとも、どうでもいいの?
じゃあ。
あの時、「彼氏作るな」って言ったのは何だったの?
わからない。
先生が何を考えてるのか、全然わからない。
いつもの先生の気まぐれなのかもしれない。
からかわれてるだけなのかもしれない。
他の女の人の……代わりかもしれない。